カネカ育休後の転勤辞令は違法か

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カネカが育休取得した男性社員に対して、復職後2日後に転勤辞令を出したことが話題になっていますよね。
今回はこのニュースについて考えてみたいと思います。

ニュース
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/060300015/

このニュースでは問題は大きく3点あると考えています。

① 育休復帰後の転勤について
・ 男性社員が育休取得し復帰してわずか2日後の辞令であること
・ 引っ越したばかりで住居購入後の辞令であること
・ 保育園が決まっており来月入園する状況だったこと
・ 1~2ヵ月の転勤延期を申し入れるが認められなかったこと
② 退職日を会社が早めたこと
③ 退職日を早められたことにより年次有給休暇を取得できなかったこと

それぞれの違法性について考えてみます。

① 育休復帰後の転勤について
“専門家によると「違法性はない」とのことで意見が一致している”とのことですが、
個人的には刑事的に即違法性はなくても民事訴訟では会社が負ける可能性があるのではないか…と考えています。

労働契約法第3条5項では、会社の配転命令権の濫用について定められており、配転命令に次のことが認められる場合は、その配転命令は権利濫用として無効になるとされています。
1. 業務上の必要性がない場合
2. 不当な動機・目的が認められる場合
3. 労働者に対する不利益が通常甘受すべき程度を著しく超える場合

判例でも、メニエール病の従業員に対しての、通勤に1時間40分以上かかる大阪支社への異動命令は転勤命令権の濫用にあたるとされたミロク情報サービス事件や、
重症のアトピー性皮膚炎の子を養育する共働き夫婦の夫の東京から大阪への転勤について、子の育児に与える不利益は通常甘受すべき程度を著しく超えるとされた明治図書出版事件など、最近は本人や家族の健康状態や育児・介護の状況が私生活上の事情として考慮されるようになっています。

またこういった背景をうけて育児介護休業法第26条が育児・介護を行う労働者の配置に際して使用者の配慮義務を定めたことも考えれば、今回の件も(家族の誰かが病気を患っていたということがなくても、住居購入や子供の保育園の状況を考えれば)相当グレーな事案だと言えるのではないでしょうか。

育児介護休業法 第26条(労働者の配置に関する配慮)
事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。

② 退職日を会社が早めたこと
本人が申し出た退職日を早めるという行為は「解雇」ともみなされる行為であり、こちらは完全にOUTだと思います。
勿論、退職日調整について労使間相談の上合意があればまた話は違ってきますが、ニュースを見る限り相談してお互いに納得しての退職日延長ではないようです。

③ 退職日を早められたことにより年次有給休暇を取得できなかったこと
これも完全にOUTですね。。

年次有給休暇は従業員がもっている権利ですから、会社は申請があればそれが退職前のまとめての消化であっても取らせる必要があります。

今回のニュースでは、このような一連の流れがパパの育休取得へのいやがらせであったのか、そうでないのかは会社側のコメントがないのでなんとも言えませんが、日本でも早くパパ・ママが安心して育休を取得できるようになり(それが当たり前になり)家庭と仕事の両立ができるようになるといいなあと心から思います。

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