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目次
社会保険料とは
私たちが会社から給与を支給される際、所得税と住民税の他に厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料が控除されています。
この厚生年金保険料と健康保険料をまとめて社会保険料といい、過去に支払われた給与から計算されています。
どのくらいの金額が社会保険料として控除されるのかというと、例えば次のようになります。
給与額 | 厚生年金保険料 | 健康保険料 | 控除後金額 |
160,000 | 14,640 | 7,920 | 137,440 |
240,000 | 21,960 | 11,880 | 206,160 |
360,000 | 32,940 | 17,820 | 309,240 |
530,000 | 48,495 | 26,235 | 455,270 |
だいたい社会保険料を差し引くと、控除後の金額は給与額の85%くらいに減少しますが、これを支払うことにより将来受け取る年金額が決定します。
産休・育休中はこの社会保険料を支払わなくていいのです。
免除される金額
免除される金額は、社会保険料の全額です。
下記「免除される期間」の間、一切の社会保険料は支払う必要はありません。
だいたい月給24万円の額面で年間の社会保険料負担額は40万円以上にもなるので、その全額支払いが免除になると考えると大きいですよね。
免除される期間
原則
免除される期間は「休業開始月」から「終了予定日の翌日の属する月の前月」までです。
下記の例でみてみましょう。
- 休業開始が6/1、休業終了が12/15の場合⇒6月分から11月まで
- 休業開始が6/15、休業終了が12/30の場合⇒6月から11月まで
- 休業開始が6/15、休業終了が12/31の場合⇒6月から12月まで
育休を延長する場合
育休を延長する場合は、最大「3歳の誕生日の前日」まで、社会保険料を免除することが可能です。
育児休業は保育園に入れなかった等の特別な事情があった場合でも、法律で最大2歳までしか取れないと決まっています。
ただ、会社の規則として育児休業を3歳、4歳まで認める企業もあると思います。
この場合、会社を休んでさえいれば、社会保険料は3歳の誕生日の前日まで免除することができます。
免除を最大にする方法
上記のとおり、免除される期間は日にちで按分されるのではなく、月ごとで「休業開始月」から「終了予定日の翌日の属する月の前月」までです。
これを利用し、免除期間を最大限にしつつ、会社からの復帰前・復帰後のお給料をもらうには、休業開始日は、月のできるだけ後半にし、かつ休業終了日は月末(最終日)にするということです。
そうすると、休業開始月は、お給料はほぼ丸1か月分もらえるけれど社会保険料はかからず、休業終了月まで社会保険料が免除されます。
パパが育休をとった場合は?
パパが育児休業をとった場合も、パパの社会保険料が免除されます。
例えば月末から翌月の3日まで育児休業をとった場合等は、パパが育休をとることによる給与額の減少より、社会保険料免除の効果の方が大きく結果としてなぜか手取り額が増えるということもあり得るのです。
賞与が支給される場合は?
例えば産休・育休に入ってから、ママの会社から賞与が支給されることってありますよね。この場合も通常控除される社会保険料が免除されます。
賞与60万とすると約8万円の社会保険料が通常引かれるところ、その月は控除されません。
育休が1ヵ月に満たない場合は?
例えば6/1~6/20まで等、育休期間が1月に満たない場合、社会保険料は免除されるのでしょうか?
この場合、原則として社会保険料は免除されません。但し、育休が月末を含む場合は社会保険料は免除されます。極論、月末1日しか休まなかった場合でもその月の社会保険料が免除されることとなります。
例にしてみると、下記のとおりとなります。
- 休業開始が6/1、休業終了が6/30の場合(まる1ヵ月の育休)⇒6月分の社会保険料が免除
- 休業開始が6/1、休業終了が6/29の場合⇒社会保険料の免除なし
- 6/30のみ休業した場合⇒6月分の社会保険料が免除
- 休業開始が6/30、休業終了が7/1の場合⇒6月分の社会保険料が免除
会社から給与が支給される場合は?
会社から給与が支給される場合でも、育児休業を取得し休んでさえいれば社会保険料は免除されます。
将来もらえる年金額への影響
冒頭でも触れたように、私たちが払っている社会保険料は、将来もらえる年金額に反映されます。
簡単にいうと支払う社会保険料が多ければ多いほど、将来もらえる年金額は多くなります。
産休育休中の社会保険料は、免除されても、これを支払ったものとして、将来の年金額が支給されますので免除されることによるデメリットはありません。
免除に必要な手続き
免除手続きは勤務先の会社が行います。
なお、通常会社と従業員が半分ずつ支払っている社会保険料ですが、この免除期間、会社の支払い義務も免除されます。
ですので通常、何も言わなくても会社の方で免除手続きを行っているはずなのですが、心配な方は事前に会社に確認しておきましょう。
なお、被保険者からの申出を受けた会社が「産前産後休業取得者申出書」もしくは「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出することで、免除申請が行われます。
<今回の記事を書くにあたり問い合わせた機関>
千代田年金事務所